クオリアライズ

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Lyric

君の生命の根源はその機械仕掛けのプレーヤーであることを僕はその日知った
不安そうな表情で僕を見上げる君に「大丈夫」と嘘を吐き軋む手の平を握った

ひんやりとした感触を僕は右手に包んで「何処へ行くの」と尋ねる君には黙った
人工的な太陽、人工的な森や人々 こんな所に居ては僕らきっとダメになる

時折鳴り響くサイレンに僕らそっと身をかがめた
『得体のしれないバケモノがまた街を襲っている』

震えながら進めた足は遥か遠い黒煙を背にして
歪んで見える真っ青な空、僕はあんなの欲しくないよ
やがて辿り着いた地平はやっぱり壁でしかなかった
いちにのさんで飛び出した世界、チリチリとした感触が身を焼いていく

いつか友だちとしたカードゲームみたいだと僕はぼそり呟いて黙り込む君を見据えた
「怖くて震えているの?大丈夫僕がついてるよ!」君は何も言わないでゆっくり頷いた

「ここはどのあたりだろう」荒廃した大地が広がって
力なく踏み出す足、初めて感じる本当の土
当たり前だ僕らはこの世界に順応していかなきゃ、
程なくして閃光、見たこともない機械仕掛けの鳥

爆音が鳴り響き強い風が僕らを突き飛ばす
離してしまった手には黒いオイルがこびり付いたまま

「ごめんね私もう人じゃないの、心もない機械なのよ」
君は無機質な笑顔を見せた、僕の心がチクリ、と痛む
当たり前の世界を壊して ふと君の目から零れた涙は
心を突き刺す風より冷たい 握った手の硬さが僕を殺してく

たかが『人間』一人くらい担いで歩けるからなんて
君は僕の手を振りほどいて、「君だけ逃げて」と言った
その瞳が見ていたのは 僕の顔かそれとも未来なのか
僕は何処へ逃げればいいんだろう 誰かオシエテくれ

ひんやりとした感触を僕は右手に包み込む
機械仕掛けの神が僕を嘲笑ってる

震えながら進めた足は遥か遠い楽園を目指して
脳裏を巡るぼやけた世界、いつか見た映画のラストシーン
やがて辿り着いた地平で 小さな体躯が僕を見つけて叫んだ
胸を貫いて転がる銃弾、チリチリとした感触が身を焼いていく

震えながら伸ばした指はもう誰にも届かないんだ
「化け物!」だと耳鳴りがする 溶けた傷口、何も流れない
「ごめんね僕も『人間』じゃなかったんだね」 僕はここにいちゃいけないんだ
震えた掌 真っ黒い涙 段々と僕の世界を暗く染めていく